2019年8月22日木曜日

OP級ヨーロッパ選手権 トルコ・イスタンブール 「強風で知らさせた世界の壁」 ヨットモーターボートの雑誌『KAZI舵』吉迫由香選手 

写真上:トップグループのフリー帆走
写真下:会場となったホテルには参加32カ国の国旗が並ぶ
(国立国会図書館より)


成績表
男子1~10位と、日本選手の順位
女子1~10位と、日本選手の順位
吉迫由香選手(広島)は2004年アテネオリンピック女子470級日本代表
 RACE file  Optimist European Championship
1994 OP級ヨーロッパ選手権
  1994.7.23~30  トルコ・イスタンブール
  report/久保卓哉(日本OP協会ヨーロッパ遠征監督)

3月末の国内選考レースで代表権を獲得した8名の選手と監督、サポート陣4名の計12名でこの選手権に臨んだ。
西はギリシャ、ブルガリアと接し、東はイラン、イラクと接するトルコの夏は、出発前に見たNotice of Race に書かれたセーリングコンディション(気温22~28度、風速5~6㎡/sec)とは大きく違うものだった。

現地では、気温35~38度、10~12m/secの風が吹き続ける高温、強風のシリーズとなった。
参加国は32カ国、女子選手76名、男子選手145名。加えて各国の監督、コーチ、家族などが一堂に会し、今年のヨーロッパ選手権はトルコということもあり、過去に例を見ない大規模な大会となった。

チャーター艇とゴムボートを受取り、三船和馬コーチの指導のもと二日間の海上練習をしたが、選手達には強風にとまどう様子が見られ、セーリングをしているのか、沈をしないように頑張っているのかわからない状況で、これは厳しいことになりそうだという予感がした。

軽風ならば楽にトップ8に入り入賞できそうな日本選手がいたのだが、強風となると、アルゼンチン、デンマーク、スウェーデン、ノルウエー、オランダなどには強風好きの速い選手がたくさんいた。

ヨーロッパ選手権は、男子と女子は別のフリートでレースを行う。男子は145艇を4つのグループに分けて総当たり戦を行い、女子は76艇が同時にスタートする。

日本選手のレース結果は満足できるものではなかったが、選手権全体を見渡して、男女とも15位以内の選手のセーリングは実に見事だった。

OP級ではセルフベーラーが禁止されているため、帆走中に入ってきた水は自分で汲み出さねばならないのだが、彼らは強風のクローズホールドで、ハイクアウトしながら水を汲み出し、汲み出す腕をバランスモーメントに利用してさらに艇を起こしてフラットにしていた。
強風で水の入った艇とそうでない艇とのスピード、上り角度の差は歴然としていた。

また男女とも上位の選手には、クローズホールドでセンターボードを上げて走る選手がいなかった。16位前後の選手を境にしてセンターボードを上げる選手が見えはじめ、順位が
下がるほど、センターボードの引き上げ具合が大きい。
これは見事なまでに比例していた。

つまり強風だからといってセンターボードを上げて走っていたのでは15位以内に入れないということだ。センターボードを上げずに走るためには、体力、セーリングの技術、セールトリムの工夫、集中力、闘争心、慣れ、など多くのことが要求されるが、今回はそのレベルの差が歴然としていた。。
これは、選手のみならず、指導者側にも強風に対するトレーニング上の修正が必要だと思われた。

成績表:1~10位と日本選手の順位 (男子)
    1~10位と日本選手の順位 (女子) →写真を拡大

【吉迫由香選手】
バルセロナ470ワールド代表決定
博多湾の風 470メダルレース
全日本470級選手権







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