授業が終って下校するときは わいわいあそびながら道草をくって一緒に帰り 家についても
そのまま近くで遊んだ
小学校で教えてくれた浅利至先生(現在94歳)にとっては 文童は自慢の教え子で 浅利先生の家には 文童が出演したテレビの録画がそろっている
浅利先生の家に行くと 必ずその録画をだして 「見てみるか 脇田が出ている」 と言いながら もう見ました と答えるのも聞かず テープを回す
同級生の浜崎はじめちゃんも同じで 「おいこの前テレビつけたら文童出とったぞ 見たか 今あのドラマしいないさか 前の再放送やと思うけど 文童うまいなあ たいしたやっちゃ」
とうれしそうに自慢する
文童と幼なじみ 文童と同級生ということがたまらなくうれしいのだ
文童は 特別に与えられた楽屋を一人で使う役者になった
その楽屋にふさわしい暖簾を作って文童に贈ろう と 古くからの親友が立ち上がって
寄付を集め のれんの色とデザインを考え のれんに書く文字を能筆の書家が揮毫した
揮毫したのは日本に名を知られた紀州の書家で 弓庵に棲むこの人も 文童の同級生なのだ
文童を白浜に迎えて 出来上がったのれんを手渡した場所は 小学校時代の担任の先生 国本多壽枝先生の しらら であった
国本先生は まずは寄付を集めなければと 多くの人の家を訪ねて 繰り返し足を運んだ
その使命感とあふれる熱意は 南紀白浜の町を地震がおそったように揺さぶった
この美談をマスコミが見逃すわけはない
新聞は紀伊民報の記者がかけつけ テレビは和歌山テレビのカメラマンがかけつけた
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