ひまわり畑がどこまでもつづくイスタンブル郊外は
土壌をよくみると石だらけの荒れ地にみえました。
乾燥した土に熱せられた空気はマルマラ海に
向かって吹き続け、土ぼこりがまきあがります。
空は雲のかけらもない青空。
しかし、さらに奥に入って見た光景は、一年のうち
もっとも印象的な光景でした。
荒れ地の向こうみ見えてきた鬱蒼とした森林の真上には
灰色の雨雲がのしかかり、おしみなく雨をそそいで
います。
まるで神が大空に線を引いたようでした。
荒れて地の上は雲ひとつわかないのに、森林の上では
雨雲が次から次へとわきあがっているのです。
「山は木あるときは神気さかんなり、木なきときは
神気衰えて、雲雨を起こすべき力少なし」
といった熊澤蕃山のことばは、トルコの空に生きていました。
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