「絵葉書で見る」シリーズ完結編を出版
明治・大正・昭和初期の瀬戸・鉛山
田辺市湊の「あおい書店」は写真集「絵葉書で見る明治・大正・昭和初期の瀬戸・鉛山 南紀白浜温泉 第二集上・下」(A4判、上・下セットで1500円)=写真=をこのほど出版した。
熊野歴史懇話会(橋本観吉会長)が企画した。6年前に出版した「南紀白浜温泉」の続編。1929年の昭和天皇行幸時の様子を伝える写真など134枚を収録している。
和歌山市築港1丁目の古書店「紀国堂」の店主溝端佳則氏から提供された写真で、上巻に69枚、下巻に65枚を掲載。白浜町出身で福山大学名誉教授の久保卓哉氏が説明文を作成した。
昭和天皇行幸時の写真は上巻に掲載され16枚。戦艦長門の艦載水雷艇で綱不知桟橋に着岸、上陸されたところや小中学生、高齢者らが奉迎する様子がよく分かる。久保氏がまとめた詳細な行幸記録(下巻)も収録している。
ほかに、コンクリート舗装された行幸当時の臨海道路、白良浜のサンドスキー場、白良浜でのハマグリ採り風景、鉛山鉱山の風景など珍しい写真が掲載されている。
瀬戸の家並みと本覚寺を描いた絵(画・南三浪、1919年)、湯崎にあった旅館「有田屋」の昭和初期の広告なども収録。瀬戸地区の文学青年が主になって発行した文芸同人誌「アカ芋」などを参考に分かりやすい説明が加えられ、白浜温泉の歴史を知る上で貴重な資料となっている。
上巻は白浜町出身で文教大学名誉教授の宮本倫好氏が巻頭辞を、県議の立谷誠一氏が後序を、下巻では同町出身の書家弓場龍渓氏が小序、久保氏が編集後記とむすびを担当している。
懇話会の「絵葉書で見る」シリーズはみなべ町から串本町まで12種(15冊)出版され、今回が完結編となった。