紀伊民報 2013年12月1日 日曜日
温泉街にホタルを 住民男性と児童20人 来春放流へ幼虫飼育 白浜
「温泉街にホタルを飛ばそう」を合い言葉に白浜町瀬戸、久保卓哉さん(66)と近所の児童が、ゲンジボタルの幼虫と幼虫の餌になるカワニナを大事に育てている。 児童は「ホタルが飛び回るのを早く見たい」と楽しみにしている。
「周囲に田んぼがまだ多かった昭和30年代、白浜温泉街のあちらこちらでホタルの乱舞が見られた」と久保さん。 開発が進み宅地造成が盛んになると、そうした光景は見られなくなった。
「ホタルを見ると大人も子どもも歓声を上げる。ホタルを見て感動する経験を子どもたちにさせてやりたい」と久保さんが発起。
今年4月に有志の会「白浜にホタルを飛ばそう会」を発足させた。
といってもメンバーは久保さんと子どもたちの約20人。 久保さんが自宅納屋で幼虫1400匹とカワニナを飼育。 子どもたちもカワニナに餌のキャベツを与えたり、カワニナや幼虫を飼っている容器の水を換えたりして世話を手伝っている。
久保さんとホタルの関わりは20年近く前にさかのぼる。 仕事の関係で当時、広島市北部の山間部に住んでいた久保さんは、地元の人たちと協力し、河川改修で全滅したホタルの復活活動に着手した。 久保さんは今も活動に関わっており、時々広島に戻っている。 夏の観賞会には毎年700人の住民が繰り出すようになったという。
久保さんの計画では、来年3月に自宅近くの山のすそを流れる側溝に幼虫を放流する。 「ここはかつてホタルが舞っていた所。昨年、試しにカワニナを放流したところ、1年後も生きていた。幼虫を放流しても羽化できると確認できた」と話す。
幼虫などの世話を手伝っている白浜第一小学校4年、真砂愛さん(10)は「この辺りでホタルを見たことがない。早く飛ぶようにしてみんなにも見せてあげたい」、同小学校1年の廣畑楓希君(7)は「幼虫がだんだん大きくなるので楽しい」と笑顔で話した。
久保さんは「順調なら来年6月初旬にはホタルの乱舞が鑑賞できそう」と期待している。
(くぼたくや転記 2013.12.04)